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今回ご紹介しますビワと鍼灸の臨床例は、甲状腺機能低下症の患者さんです。甲状腺機能低下に伴う、不定愁訴を少しでも楽にして欲しいという患者さんです。 倦怠感が二年間も続き、また異常な肩こりが起こってきたので、医療機関を受診しました。医師から甲状腺機能低下症(橋本氏病)と診断され、現在、ホルモン剤であるチラージンの投与を受けています。ホルモン剤服用開始後、倦怠感は改善されました。 しかし、のぼせ、冷え、腰痛、背中のこりなど愁訴はなかなか改善されず、一時期漢方薬も試してみましたが、胃もたれの副作用を起こしたため継続できず、中止しました。 舌質:紫青、舌形:胖大・歯痕、舌苔:薄白、舌下絡脈++、脈状:数、浮弦ト 甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量(活性)が不十分となる代謝内分泌疾患の一つです。 全身がエネルギーを利用できない状態になるので、現れる症状は非常に多彩です。 中医学的な立場から診断してみますと、この患者さんの場合、まず顕著な腎精不足が見られました。中医学的な腎の生理機能の一つに「精を蔵す」という働きがあります。精とは、人体の基礎物質で、人の成長老化や生殖機能と密接な関わりがあります。腎精の不足している腎精不足証は、壮年期にはホルモンの機能や老化に影響を及ぼすのが特徴です。 この患者さんにも、甲状腺ホルモンの低下や年齢にそぐわない倦怠感、脱毛、足腰のだるさなど一種の老化現象が見られました。(西洋医学的にも、甲状腺機能低下症の患者さんは、血管の老化が早いと言われています。) さらに、腎の精気は腎陰や腎陽の元になりますので、腎精不足から腎陽虚になると冷え症がきつくなりますし、逆に腎陰虚になると熱感・こり感・頭痛などののぼせ症状が出てきます。この患者さんの場合は、肝気の高ぶりも重なって、肝腎陰虚証を起こして、時々強いのぼせが起こっていました。 弁証名:腎精不足証(ベース)、肝腎陰虚証、気滞血C証 患者さんが訴えている症状は、以下の通りです。 熱感=5 足冷え=5 腰痛=2 こり=4 頭重=4 上の数値は、患者の症状の辛さを、絶対値で6段階にして示したもの。 5:耐え難い、4:強度、3:中等度、2:軽度、1:ほんの少し、0:症状なし 次回、ビワ温熱療法や鍼灸治療による、治療経過をご報告します。 東洋医学について、もっと知りたい方は、三砂堂漢方伝統医学研究室をご覧下さい。 |
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